創作について

クリエイターにとっての成功とは

何かをつくりたいという衝動に駆られる人というのは、少なからずそれに対してアイデンティティを見出しているもので、こだわりも持っています。
この創作が好きだから、やらないと身体がどうにかなってしまうから、理由はいくつかあるにせよ、自己を満足させるために創作に打ち込みます。

自分だけ楽しければいい、表現したいようにすればいい。それが創作の醍醐味であります。
しかし、もしその創作を突き進んでいきたと思うのならば、自分だけの中で継続していくことが困難になっていきます。
SNSやイベント、展示などで、誰かに見てもらいたい、いいねが欲しい。いずれ第三者からの評価を欲するようになります。
そしてたった一人からでも賞賛をもらうと、私たちは自分の中だけで創作に打ち込んでいたあの頃には二度と戻ることができません。
さらなる数の賞賛をもらおうと躍起になっていきます。
それが自己承認欲求の肥大に繋がり、精神を病むか、自我を保っていくかのどちらかとなります。

クリエイターにとっての成功とは

一般的に思われているクリエイターの成功とは、以下のようなものが挙げられます。

  • その道一本で生計を立てている状態
  • 常に誰からも自分の作品が賞賛されている状態
  • 名が知れ渡り、有名

絵描きは有名プロイラストレーターを夢見ますし、漫画描きは売れっ子漫画家で自分の作品がアニメ化、映画化を頭に描きます。
幼くしてこのような夢を持った方は、プロになった時のサインを考えたり、インタビューに対してどういう返答をするか妄想したことがあるはずです。私は小学生の頃よくしていました。

成功への道のり

有名になりたければ、大多数から賞賛されるような作品を作り続けなければいけません。
自分だけの色を出せる作品が最たるものになりますが、そこまでに到達するには自分を遠ざける必要があります。
絵ならば、ただ闇雲に描き続けていると、天才以外は必ず限界がやってきます。第三者が見て綺麗だ可愛いだと好感を持ってもらえるような普遍的な美意識を育てないと、買ってもらうことすらできません。
これまでの絵画たちは、当時の固定観念の破壊による衝撃で名を残してきました。しかし、それ以前の技術の基礎はどの作家も最低限は身につけていたのではと思います。ピカソはデフォルメ画が有名ですが、普通の絵もめちゃめちゃ上手です。

有名、成功への道は、ひたすら続けることだと思います。続けていれば、必ずどこかでチャンスがやってきます。あとはそのチャンスを掴むか、自分がそこへ進む運気があるかどうか。情熱があるかどうか。
あとは、悪魔に魂を売るかどうか。

成功は幸せなのだろうか

しかし、果たして成功して、その先に幸せはあるのでしょうか。
下手に有名なると、プライバシーは過剰に制限され、迂闊に家を出ることもできません。下手をすれば、人間不信に陥ります。
いきなり高額の宝くじを当てて破滅するように、名声は周りも自分も変えてしまう可能性と隣り合わせとなります。

作品を生み出し続けることができればいいという声が大半でしょうが、名声を手にすれば大衆からのイメージは強固なものになります。この人はこの作品、この人はこういう絵柄という固定観念を押し付けられるようになります。これに耐えられるか、または気にせずのびのびやるか、その個人の精神力に左右されます。

逆に、まったく売れずにゴッホのように死ぬまで絵を描き続ける人生を送るか。一般から見たら不幸な印象ですが、絵描きにとっては冥利に尽きることでしょう。売れずとも、人生を生きがいに注げているのですから。

幸福を感じるもの

アートの世界では描き手自身が狂気に走らないと、印象的な作品が生み出されないものだったりします。
しかし、現在はアートとデザインが混在している世の中です。他者から賞賛される絵とは、デザイン性を持ったアートであり、それが商品・ビジネスへと展開されます。
クリエイターの成功が「その道で生計を立てていくもの」であるならば、やはり他者のために商品価値を提供しなければいけません。ですから「アート」よりも「イラスト」という言葉が蔓延しているのでしょう。

他者のための絵であるならば、凝り固まった自我は邪魔でしかなく、透明にして表現することになります。自分という絵の具をキャンバスにつけて、普遍性という水で溶かして色を伸ばしていきます。

私は経済カテゴリの動画で見たのですが、「幸福感」を感じるときとは、人のために何かを行動したときなのだそうです。
たしかに、電車で席を譲ったり、道を教えてたときなど悪い思いはしません。それが自分の作品で誰かにいい気分になってもらえるならば、これこそ絵描き冥利に尽きることになります。

誰かの幸せのためにと思ってつくる作品とは、自分の自我が最低限に保たれ、あとは他者のための普遍性重視の仕上がりとなります。それがクリエイター側にとって思うことはあるでしょうが、幸福=成功への近道ではないでしょうか。
ビジネスで売り手も買い手もいい思いができるウィンウィンな関係が私は好きです。創作の世界でもこれが沢山実現できたら、多くの人が幸せの一歩を踏めるのではと思っています。描き手も幸せ、買い手も幸せ、どちらも幸せ。いいサイクルです。これだから創作はやめられない。

個人的に思うクリエイターの成功とは、以上のウィンウィンな関係の継続になります。お金も名声も後からついてくるでしょう。