その他雑記

SS小説「遠い昔の夢日記:拳銃で撃たれた感覚」

ここは、確実に日本ではない。

西洋風なアーチ状の柱や窓。白い壁に赤い暖炉。
私は、ブロンドの髪を方の少し下まで伸ばした少女になっていた。肌は雪のように白く、赤と緑のチェック柄をしたフリフリしたワンピースを着ている。

左隣に巨大なクマのぬいぐるみが、私の目を見て座り込んでいる。
なに?私になにか話したいの?

右隣には父親らしき人物がいた。茶色がかった髪に丸眼鏡をかけている。こちらを見て目を細めて笑っている。
口を動かしているように見えるけれど、声は聞こえない。

けれど、私は幸せな家庭の娘なのだろう。直観的にそう思った。
この家は、やさしさの空気で満ち満ちている。
ママはこの部屋にいないけれど、きっとキッチンでランチを作ってくれているのだろう。

玄関のドアが開いた音がした。
黒い顔の大人が2人、部屋に入ってきた。2人とも右手に何か持っている。
パパが私の前に体を飛び出していった。
全身は大人の方を向いたまま、一瞬体を震わせ、そして前に倒れてしまった。相変わらず声は聞こえないまま。

パンッ

私の体もビクッと振動した。
全身の力が抜けてしまい床に倒れこんだ。パパの足とお尻が見える。
「……っあ、」
身体が……熱い!すごいドクドクする。心臓の音?いや、お腹のあたりがドクドクしている。お腹が熱い、熱い!
ただただ熱い。ドクドクして熱い。赤いものは見えないのに赤を感じる。

身体が熱い、熱い、熱い……。

ドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドク

部屋の入口には脚が4本立ったまま。

クマさん、どこ?お話しないの?

ドクドクドクドク……ドク……ド……。

 

 

「はっ!」

……夢?

リアルな夢だった……。痛みはなかったけれど、とてもドクドクして熱かった。本当に撃たれたら、あんな感覚なのだろうか。
ハンドガン一発で命を奪えるなんて、銃って怖いな。

銃を持っていた大人達は強盗だったのだろうか。
もしかしたらあの少女は、いつかの私だったのかもしれない。
あの熱さは、まさに本物だったのだから。