創作について

動物キャラクターを利用する意味

動物をモチーフにつくられる「動物キャラクター」。それは人間のように日常生活を送り、ドラマを展開させます。
明らかに人間同士のストーリー展開であるのに、見た目は動物。なぜでしょう。見た目も人ではだめなのでしょうか。
動物キャラクターは私たちの日常にもありふれていますが、動物キャラクターを起用する意味について考察したいと思います。

動物キャラクター作品

しろくまカフェ


出典:amazon.co.jp ©2008 ヒガ アロハ

シロクマくんが経営するカフェを中心に動物たちのユルい日常を描く作品。
デフォルメ無しでリアルのままの動物キャラクターですが、それが癒しを感じさせます。

BEASTARS


出典:amazon.co.jp ©2017 板垣巴留

動物キャラクターの学園青春もの。けっこう物騒な展開で任侠沙汰もあるけれど、青春もの。肉食動物と草食動物の生き方にフォーカスした作品です。

オッドタクシー


出典:amazon.co.jp ©2021 此元和津也/P.I.C.S.

今季アニメ放送中。一つのある事件を巡って繰り広げられる、動物キャラクターたちの群衆劇。
主人公はタクシードライバー。41歳のセイウチから感じられる、なんともいえないおじさん臭さ。

動物キャラクターを利用する意味

子ども向きから大人向きまで様々な動物キャラクターものの作品は多数あります。
動物キャラクターを利用する意味を考えてみます。

年齢を感じさせない

動物キャラクターは過剰に髭などつけなければ、年齢を感じさせません。つまり、鑑賞者の年齢に関係なくその作品に入り込みやすくさせる意味があります。絵柄の差は多少ありますが、人間キャラよりは実物とのギャップはそこまで感じません。
もっとも人気がある人気キャラクターに「ミッキーマウス」、「スヌーピー」、「トトロ」などいますが、年齢不詳です。

歳を取らない人間キャラであっても、その時の自分の年齢との差を感じてしまいます。動物キャラクターは中身が何歳であっても、とくに気になりません。動物園で動物を見て自分との年齢を比較する人はあまりいないのではと思います。
年齢を感じさせないとは、そのキャラに対するイメージがとくに悪くならないということです。生き物は年齢とともに劣化していく、という思い込みが私たちにはあるからです。

人外は癒し

ここ10年でゆるキャラ、「ゆるいマスコットキャラクター」が膨大な数生み出されました。町おこし、企業イメージの向上、シンボルの確立などビジネス面でも動物キャラクターは利用されています。ゆるキャラに対して日々癒しを感じている人も多いと思われます。なぜ癒されるのでしょうか。
人間は、自分とは異なるものに愛着を覚えるのではないかと個人的に考えています。子孫を残すために、人は遠い遺伝子の異性を求める傾向があります。それと似た現象が動物キャラクターに対しても起こっているのではないか。現代はストレス社会であり、プライベート空間では自分と違う生き物と接していたい。そんな願望もあるのではないかと考えます。

日本人は無表情なキャラクターを好む傾向があるそうです。無表情は自分に対して良いとも悪いとも言わない。ただ受け入れてくれる。それが癒しにつながるようです。ゆるキャラで人気な「ハローキティ」、「くまモン」、「こうペンちゃん」などいますがどれも基本喜怒哀楽が感じられません。その無表情は動物にも当てはまり、猫や鳥の無表情さに癒されています。
上の例に挙げた「しろくまカフェ」の動物たちは、喜怒哀楽はありますが見た目では無表情のままです。

キャラの差別化が容易

動物は種類によって見た目がガラリと変わります。人間キャラは髪型や服装、小物などで差別化をはかりますが、動物は種類さえ変えればその必要がありません。
キャラの判別が容易になります。子ども向けの絵本やアニメは動物キャラクターものの作品が多々ありますが、その理由の一つに見た目の分かりやすさもあるだろうと考えられます。動物によって色あいも様々です。自然と色彩豊かになっていきます。
動物によっての性格付けもしやすく、個性も出しやすくなります。ジャンルによっては人間よりオーバーリアクションになり刺激的なつくりになります。

動物キャラクターのシンボル的意味合い


日本国宝に『鳥獣戯画』という、動物たちのみで構成される絵巻物があります。平安時代から鎌倉時代に描かれたもので、作者不明。躍動感あふれる動物たちの絵巻物は、マンガ・アニメのルーツともいわれています。

『鳥獣戯画』で動物を扱う理由ですが、それぞれの立ち位置で役割があるそうです。キツネは狐火のスキルから照明係、カエルは水かきを持つ共通点から仏様、という興味深い考察がありました。

そのようなシンボル的意味合いで動物を用いられることも多々あると思われます。

日本むかし話の『桃太郎』がありますが、桃太郎のお供に犬、猿、キジが登場します。なぜその動物なのかというと、方位をあらわす「鬼門」に関係しているそうです。以前は十二支という12の記号を日時や方位に当てはめて利用されていましたが、「鬼門」とは反対の方位を示す動物が「戌(犬)」「申(猿)」「酉(鳥)」の「裏鬼門」を表す十二支。そこから桃太郎のお供へ転用されたと考えられています。

他にも宗教的意味を持つ動物をキャラクターに起用する、ということも往々にしてあるのでしょう。

さいごに

ふと浮かんだ疑問だったのですが、意外と奥が深くて驚いています。
動物キャラクターを用いたビジネスは昔からありますが、人間が動物に対する感情には深いものを感じます。だからビジネスとしても成立するのでしょう。
鳥獣戯画はどの動物も躍動感あふれていて遊び心にあふれていることが見て取れます。眺めるだけで楽しいです。日本人とは、生来遊び心を大事にしていたのかもしれません。
動物キャラクターは子ども向き作品のものが90年代には特に多くありましたが、大人向きも沢山あります。人気コンテンツのひとつです。動物ものは人間キャラものとは毛色の違う作品が多いので観る側も楽しいです。きっとつくり甲斐のある作品になると思います。